早苗は手に汗握って完成を待っていた。


「ふぅーん、成功のようだねぇ」

「おっしゃ!流石にまだ失敗はしないか!
 嶺ちゃん先輩、まだグラインダーあるからもう一回!」


ここは「寿武具店」。主にアークスたちの武器・防具の
強化を生業とするショップエリアに並ぶ店の1つだ。

ただし、ここの店、運が良くないと・・・


「どぅrrrrrrrrrrrrrrrrっほー!
 次はMeが強化してさっしあげまショう!!」


レジスターが跳ね上がったかと思うと、
ピチピチの店員スーツに身を包んだシャイニング早乙女が現れた。

そしてなぜか、


「はーい、嶺二っさーん、マラカス持って持って」

「おっけーシャイニー!ぁミュージーック、スタァーット!」

『〜♪ ローリン?』

シャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカ…


武器強化の装置が早苗の杖を取込み、強化に必要な材料をひと通り飲み込むと、
軽快な伴奏と掛け声、そして嶺二の演奏するマラカスと
シャイニーの演奏するボンゴがショップエリア中に流れだした。

背後から「あーあ、あの子当たっちゃったか〜」
「可哀想に、まだ若いのにねぇ…」「死なないといいけど…」
という声と視線がつきささる、まずい、やっちまった。


「「キミは実に運が無いなぁ〜」」


曲の終わりと共に、満面のドヤ顔をした二人が
早苗の目の前に強化失敗した武器を差し出してきた。

こいつら、いつか絶対、風魔法で切り刻む…

「ギ・ザン!!」








<あなたには感謝している。
 この少ない言葉で困難を乗り越えてくれたことを。
 そしてこの先も、あなたは…>







【Chapter.04 もっと今日が続くなら】




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