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お月見の三日前。
白玉粉を、ひたすら、こねる!


「カー、バラバラ!!(美味しそう!!サナは料理上手だね!)」

「まぁ…お団子くらいなら作れますよ。アヌビスさんも是非食べてくださいね」

「カー!(うん、食べる!)」


白玉粉の入ったボウルに熱湯をいれてかき混ぜる。さらに調味料やら何やらを用意して、団子状にこねてトレイの上へ並べていく。早苗はお月見用のお団子制作部隊を任され、厨房を借りて団子を作っていた。
今回のお月見では、生徒会がススキと場所の確保を、早苗とアヌビスがお団子を、ディオニュソスとロキ、トール、ハデス、尊がその他お菓子やジュースの確保を任されているのだ。かといってアヌビスに何かさせるのも監督が大変そうだったので、彼には出来上がったお団子に、食紅や抹茶を使って兎の顔を書いてもらうだけにした。
なかなかに天然なところのあるアヌビスでは、熱湯で火傷したりそうだと判断したのだ。


「カ〜(可愛い、可愛い、兎さーん)」

「上手ですね、その調子で、お団子の半分は兎にしてください」

「カー!(分かった!頑張る!)」


本当に子守をしているかのような錯覚を覚える。いつか自分に息子ができたらこんな感じなのだろうかと思いながら、早苗は片付けられるきぐの片付けに手をつけた。











【 11:真実の愛 】










「はっくしゅ!」


お月見の二日前。
とても可愛いとは言えない自分のくしゃみと冷たい外気に、ぶるりと体が震えた。薄着で寝たわけでもないし、朝晩は冷えるのできちんと着込んで寝ている。どうしてこんなに体調が優れないのだろうか。早苗は朝ごはんにと鮭を焼きながら首を傾げた。
どうもここ数日体がダルイなと思ってはいたが、まさかここまで体調を崩すとは思っていなかった。首の後あたりの悪寒が酷く、体の節々が痛い。備え置いている体温計で寝起きに測っていれば、なんと39度台を記録していて、今日は大人しくしているべきだと保健室は「保健医不在」の札を出している。

焼けた鮭でお粥を作り、どうにかお腹に押し込むと氷枕を用意してベッドに再び潜り込んだ。保健医が寝こむだなんて、恥ずかしいことこの上ない。さっさと直してしまわねば、明日のお月見に行けなくなってしまう。
結局、朝一番に訪ねてきたアヌビスに熱があるので今日は熱があるので仕事が出来ない、とトトへの伝言を任せることに成功し、一日ねて過ごそうと毛布をかぶり直した。





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