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※R指定シーンあり
※苦手な方は次のお話へ進めてください
※読まなくとも、内容は把握できるかと思います。



【 二 】



早苗にとって、風魔小太郎という存在はすぐに生活の主軸になった。
もちろん、能力の絶対的な高さに一人の「武術を嗜む者」として感服しているというのもあれば、彼が持つ暗い空気に女として惹かれていることも確かだ。ともかく、彼のために早苗の生活は費やされることになった。

先輩である看守に何か言伝たのか、早苗が別の担当と持ち場を交代する時には、部屋へ戻る前に一度奥の独房へと顔を見せることが日課となった。そこで罪人たちの様子を伝えたり、獄門処の内外で起きている事象を言い伝える。
最初のうちは彼もまた早苗の扱いに悩み警戒していたようだったが、最近ではそれなりに気を許してくれているような気がした。早苗はそれがとても嬉しく、仲が良いと自負している錦にすら彼の存在を話そうとは思えなかった。子供っぽいが独占欲が働いてしまったのだ。


「本日の報告は以上です」


早苗はいつもどおり伝えるべきことを伝え、小太郎が何か指示を出すのを頭を垂れて待っていた。ところが今日に限っては前方で身動きする気配がし、彼が早苗の目の前に膝をついたのが分かった。
まとっている空気が、いつもより暗く黒く、そして重たい気がする。そしてその重たさは、早苗の全身を鎖で絡めとるようにまとわりつき、心が高揚していく


「早苗、お前は何を望んで俺に協力している?」

「何を…と言いますと?」

「どんな見返りが欲しいのかと、そう聞いているんだ」


早苗は返答に困った。純粋に彼の役に立てることが嬉しいだけで動いているのだ。それに理由なんて無いし、言ってしまえば自分が嬉しいからやっているだけ。そしてそれが見返りなのだ。
それを純粋に伝えて信じてもらえるかどうかなんて分からない。早苗だって誰かにそんなことを言われたら、疑ってかかるに決まっている。


「…ただ、小太郎様のお役にたちたくて…見返りだなんて望んではいません。強いていうのであれば、貴方様にずっとお仕えすることで私の欲求は満たされます」

「その決意の形を見せろ。俺たち風魔は、血族のために動く。それ以外の繋がりを信用しない。」


小太郎の言葉に、早苗はうっとつまりながらも考えた。風魔は当主の命令1つでなんでもこなすと聞く。金や権力には動じず、ただ一族の教えや掟に従うのみ。血を一族に連ねることの重要さは、白崎という家に縛られて生きてきた早苗にもよくよく分かることだ。
白崎という家に生まれてしまった早苗が、風魔という一族に連なる小太郎に忠誠を誓うにはどうしたらよいのだろう。


「何か、私に差し出せるものがあれば良いのですが…」


焦りでガンガンと痛む頭をこらえて言うと、小太郎はしばし思考した後、両手で早苗の顔を包み込んだ。そして顔をそっと寄せてきたかと思うと、早苗は下唇に痛みを感じて両肩をびくりと震わせた。
その痛みで、小太郎に下唇を噛まれ、血が流れだしたのだということに気づいた。血の味が口の中に広がっていくのは、少しばかり気持ち悪い。


「小太郎様…?」

「差し出せるものならばあるだろう。お前も女だ」

「…! 私が…」


小太郎は早苗を見て一瞬期待はずれというような顔を見せたが、次の瞬間には驚愕の色を浮かべていた。それもそのはずだろう。早苗も自覚していたが、自分の顔に浮かんだのは驚きや焦り、困惑といった表情ではなく、ただ純粋に喜びだったのだ。
身の純潔さえ差し出せば、小太郎は早苗を受け入れてくれると言ったのだ。早苗は一瞬頭の中で自分が小太郎に抱かれる様を想像し、そして嫌悪感ではなく歓喜を抱いた。小太郎に認めてもらえるかもしれない。それだけで身体は軽く感じられたし、何より女性として身体がうずいた。


「私が、小太郎様に我が身を差し出すこと…お許しいただけるのですか?」


小太郎は返事の前に早苗の背中へ手を回すと、そっと抱き寄せた。


「お前にその覚悟があるというのなら、な」







身体の輪郭をなぞる手、存外に優しく触れてくる唇。早苗ははじめて自分が翻弄されるという立場に立っているなと、頭のどこかで冷静に考えた。
今まで武術も陰陽術も対峙した相手を翻弄する側として生きてきた。ところが身体を「差し出す」と言った言葉そのままに、今は小太郎に翻弄されているのだ。負けず嫌いである自覚はあるのに、どうしてか今の状況は心が高揚して仕方がない。
破瓜(はか)の痛みも心地よく、ただ小太郎という絶対的主君である存在に身体を開かれていく事実が嬉しい。頬や全身から少しずつ逃げていく熱が、部屋の空気を温めているように感じられた。早苗の様子から初めてだと悟ったらしい小太郎は、挿入したまま早苗の息が落ち着くまで待ってくれている。
うっかりと下腹部に力を入れようものなら、内側にある彼自身の形を感じ取り、うあっと妙に上ずった声が出る。どれほど緊張している場面でも心臓を落ち着けることは出来るのに、今だけはどうにも身体がいうことを聞いてくれない。


「痛むのか?」

「もう、大丈夫です。…小太郎様の、思うままに……」


こちらに気遣いは見せるものの愛情は欠片も見せぬ小太郎に、早苗は首後ろに腕を回して強請った。愛なんて要らない。欲しいのは彼の側に居るための確約だ。
引きぬかれ、また入ってくる感覚に、早苗は時折悲鳴を上げながらも必死にそれを受け止めた。子供が出来てしまう頃だっただろうかとか、そんなことも最初は頭をよぎったが、今はそれどころではない。ただ小太郎が早苗にしてくれることを全身で感じ取り、受け止めることが重要なのだから。


「っく…ぁあっ……」

「鳴きたいだけ鳴け。お前は俺のものだ、そうだろう?」

「は、いっ!」

「よし、良い子だ」


頭を撫でていった手に、早苗は身体の反応を抑えこむのをやめた。何より主君である彼がそう望んでいるのだから、堪えることをやめてしまうほうが良いのだろう。早苗はひとしきり喘がされ、胎内に温かいものが広がる感覚と、自分の内側で脈打った彼を感じながら深く息を吐いた。











2014/12/22 モバイルサイトへ転記
当時書いていた夢には、今よりも詳細な夢主設定がありました。気になる方が多ければ展開しようかと思っているしだいです。




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