弐拾弐
「うわッ
ヤメロよーーー!!
それ俺のだろッ
取るなってコラ!!
あだだだだだだッ!!」
悟空が食べていたお菓子のおかわりを貰った直後、お菓子を狙った鳥が悟空を突っついた。
「はははは
やめなさい天羽
こっちへおいで」
「鳥と食い物取り合ってんなよ」
鳥は羽を広げて軽く飛び上がると、淀仁の肩に留まった。
「凄くなついてるんですね。
こうやって見るとカワイイ…」
「おい惷香。
つつかれンぞ?」
「大丈夫よ。
わぁ毛がふわっふわ〜」
「―――でも珍しいなァ
僕以外には絶対近付かない子なのに」
「野生動物みたいなモンだからじゃね?この猿も」
「誰がサルだよこの野良ガッパ!!」
「河童が野良じゃなかったらおかしいだろーがっ」
「悟浄…そこじゃないんじゃないかな?」
「その鳥だけ、どうしてここに?」
「翼を怪我してからあまり飛べないんです。
こう見えてもまだ幼いですし」
「その子だけならともかく、あれだけの羽数を世話するのは大変でしょう。エサはどうしているんですか?」
「八戒……?」
「確かに異変の影響で彼らが自ら獲るエサがほとんど無いので、私が定期的に家畜の肉なんかを与えていますが、他には彼らの食事のあと片付けをしてやる事くらいですから。
たいした事は」
「『テンジン』と『テンバ』――か。
どちらも『仏の教え』という意味だな」
「ああ…別宗派の言葉までよくご存知で!!
流石は最高僧三蔵法師様だぁ!!」
「そーそー
見た目はただの性悪タレ目だけどな」
「また悟浄
そんな事言って」
「…エサにされてェか
有害クソ河童」
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