弐拾
村人達の勝手な押し売りから、何故か淀仁を住んでいる丘の上から追い出す話となった……
三蔵のお経も終わり、村を上げての借りた家は、部屋は2つにリビング、キッチン。
バス、トイレと言う民家。
「は?
何でそんな話になりやがった」
「いやあ成り行き、と言いますか…ね?悟浄」
「勝手に盛り上がって押し付けて来たんだっつーの。
―――所でよ…
テメェは何膝枕されてやがんだクソ坊主!!」
「経を唱えた疲労を養う為だ。
何か問題があるのか」
「問題だらけだっつーの!
2人きりの時にやれよ!!」
「なら出ていけ。
安心して休める」
「ふ ざ け ん な !」
「悟浄落ち着いて。
しょうがないでしょ?
三蔵がお経を上げてくれなかったら、私達は寝泊まりする場所もなかったんだから、せめて…ね?」
「惷香!!
こんなクソエセ坊主を甘やかすとロクなモンじゃねーぞ」
「まぁまぁ
いいじゃありませんか。
はい三蔵。コーヒーです」
「ん」
やっと膝枕から起き上がった三蔵は、新聞を広げてコーヒーを飲む。
膝枕で多少なりにも疲れた足を伸ばしながら、惷香は淀仁の事を考えていた。
と、それは悟空も同じだった様子で――
「なぁ
俺、淀仁が誘拐したりする奴には見えなかったけど」
「そうですね。
僕も淀仁さんではないと思いますけど」
「何か淀仁さんは久しぶりに誰かと会話したって感じがしたかな…
きっと丘の上で鳥以外と交流がなかったんじゃないかなぁ」
「明日聞いてみれば分かる事だ
まぁもし犯人だとしても、言うとは思えんがな」
「そりゃそーだ。
"私が犯人です"なんて言うヤツがいたら、はなっからしねーだろ」
.
[ 23/40 ][*prev] [next#]
[目次]
[栞挟]
書物一覧に戻る