拾四



―――天上界















「――いたか?!」


「そっちは!?」


「捜せ!!
本殿の外もだ!」



















いつもナタク太子が座っていた席は、主を失ったまま。


その席を眺め
二郎神と観世音菩薩は困惑を隠せないままでいた。



















「御自分で歩いたとも考えられますが、あるいは、何者かによって連れ去られた…
――菩薩?」

















観世音菩薩は部屋の窓へと歩み
桜を見上げた。
















「………
嵐が来る」






















――とある場所















マニコルをカラカラ…
と回し続ける男。

頭には布を巻き、グラサンを掛け、耳が尖っている。



傍らには小さな女の子がいた。
















「――"陽"はやはり東から昇ったか。
お主の先見通りじゃな、タルチェ」

















タルチェと呼ばれた少女は
左額に模様、だが耳は通常。

少女は振り返る事なく男へ言葉を放る。

















「…星は違えぬ。
太陽の軌道は万古不易の理だ。
東より訪れ、西へ。
やがては地へと――」


















タルチェは人差し指を天に翳し
そのまま床へと指を向けた…
















「沈む」



















"陽"は墜ち


"闇"が世界を喰らうだろう


そして星は潰える














「――それもお主の『予言』か?」


「……否
『摂理』だ。」


「――たとえそれが
あの男達だとしても?」


「沈まぬ太陽は自らを焦がし
やがて燃え尽きるだろう」




















何を意味し、何を『予言』しているのか




"陽"と"闇"
そして"星"とは何かは


否応なしに『摂理』として理解する事となる――







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