梅雨・壱


ザ―――――……









蒸し暑い日々が続き
三蔵一行は不快な思いをしながら宿屋に滞在していた








「こう毎日ザーザーザーザー
うぜぇったらありゃしねぇ」








悟空とトランプをしながら
悟浄は窓の外を見ながら愚痴を吐き出す








「そう言えば惷香は?」








悟空は手持ちのカードで口元を隠しながら八戒に尋ねた








「ああ、惷香なら…」








八戒はチラッと三蔵の部屋へと目配せをした








「まーたか
ったく…雨だとあの三蔵サマはチョー不機嫌になっからな
惷香に宥めて貰わねーとッと…ほりゃ!」








カードをパシンっと叩き付け
悟浄はニヤッと笑う








「あーっ!!
タンマ!」


「タンマ無しっ!」








話をしながら盛り上げる2人を余所に


三蔵の部屋では









「ねぇ三蔵…?
まだ調子悪いの?」


「ああ…
だから動くなよ」









惷香はベッドの上で正座をし膝には三蔵の頭が乗る




具合が悪い
と、三蔵は惷香に膝枕を頼み

いや、命令したのだった




サラリと指先に絡める三蔵の金糸を
惷香は目を細めて楽しむ








「髪伸びて来たね」


「ああ」


「切らないとね」


「ああ」


「……仮病だよね」


「ああ」









空気が止まった







.

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