初夏・五
3人にグルグルと引っ張られ
惷香は水中で軽く目を回し始めた
「ちょ…待って…
そんなに…」
惷香の言葉も水音で掻き消され 次第にフラフラとし始めた
「いい加減惷香を離せってば!
そんなにしたら可哀想じゃん」
悟空は惷香の腕を引き
ぐるりと八戒と悟浄に背を向けた
「だったらてめェが離しゃいいだろうが!
このバカ猿!」
悟浄は悟空の頭を掴み
水中へと頭を押し込んだ
突然掴まっていた人が消え
足も着かない水中で惷香はグンッと水中へ重力が落ちた
「やっ…!」
ガボッと顔面に水が当たる感覚と共に 惷香は水中に沈んだ
「「「惷香!!」」」
3人は慌てて惷香に手を差し出すものの
互いが互いを邪魔をして
惷香の手を掴めない…
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