導き・拾


部屋をノックすると惷香の声が返って来た


部屋へ入ると濡れた髪をタオルで拭いていた








「久しぶりでサッパリした」








以前の様な明るい笑顔で
惷香は悟浄に笑った








「惷香
あのなこれからの事なん…」


「私
前いた町に戻るわ」


「え…?」


「悟浄
あなたには着いて行かないし
着いて来て欲しくない」








惷香は真っ直ぐに悟浄を見る

悟浄は言葉を飲んだ








「私…母親の為にあの町にいたけど去年亡くなって1人だと思ってた」








惷香は椅子を引き
カタリと腰を下ろした








「けど今日悟浄が助けてくれて
ピアスも返って来た…
このピアス…2年も悟浄と一緒にいたのよね」








惷香はピアスを見て
クスッと笑う









「だからね悟浄
いつか旅が終わる日まで
私はあの町にいるわ」


「惷香…」


「もし…悟浄が迷惑じゃないなら…待ってても
いいかな…?」









瞳に涙を溜めて惷香はニコリと微笑んだ








「迷惑な訳…ねぇよ
待っててくれっか?
こんな俺の事…」


「こんな…?
悟浄だから待ちたいのよ」








クスクスっと笑い惷香は悟浄に近寄った








「気をつけて行って来て」


「ああ
浮気すンなよ?」


「それ私のセリフ」


「しねぇって
ごじょさんを信じてよ」


「うん分かった」


「夜が明けて来たな」


「明るくなって来たね」


「あ、ちょっと待ってろ」








悟浄は自分の荷物を探り出した



バックから何かを取り出し
惷香に手渡した








「これな旅に出る前に付けてたチョーカー
俺が帰るまで俺の代わり」








悟浄はウインクして惷香の手の中へ置いた







.


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