導き・七


薄暗い部屋の中で逃げ惑う女達の中
1人壁を向いて座る女がいた


悟浄はゆっくり近寄り
顔を覗き込んだ









「惷香…か?」








女はゆっくり振り返った








「悟…浄…?」






















屋敷にいた女達を全員出たのを確認し
悟浄も惷香を連れて外へ出た


屋敷から出て森の中を2人で歩いていると ヘタリと惷香は両手を着いて座り込んだ








「おい大丈…」









悟浄が惷香の腕を掴むと
女性特有の柔らかさが感じない








「惷香…お前…」


「あの妖怪達に捕まってから…
碌に食事も貰えてなかったから
力が出なくて
すぐ疲れてしまうの…」








惷香は息をハァハァと肩でしながら フラリと立ち上がった








「助けに来てくれて…
ありがとう悟浄」


「…気にすんなって
まず町に戻ろうぜ?
ホラおぶさんな」










悟浄はしゃがみ込んで
背中を惷香に向け
手を後ろに差し出す








「い、いいよ
歩けるから」









惷香は1、2歩後ろに下がる








「遠慮すんなって」








悟浄は立ち上がって惷香の脇に背中から腕を回し

もう片手を膝の後ろにすくい上げる様にヒョイと抱き上げた


突然宙に浮かび惷香は








「きゃ…」









と小さく声を上げ手をワタワタと振る








「女の子1人位平気だって
俺様は力あンのよ?」








悟浄なニコッと笑いながらウインクをした



惷香は戸惑いながらも悟浄の首元に手を回した








「落とさねェって」








悟浄はケラケラと笑い
町まで急いだ





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