導き・五


「わりィ
俺ちょっと用事が出来たんだわ
先行っててくんね?」








悟浄は4人とすれ違う時
ポンッと八戒の肩を叩いた








「じゃ行って来るわ」








悟浄は後ろ姿のまま手をヒラヒラと振った







悟浄は人攫いのアジトについて町中の人々に聞き回った


情報によれば

町から北西の位置にある鬱蒼とした森の奥に

廃墟と化した屋敷があり
そこに何人もの黒い布で全身を覆ったヤツらが人間の女を連れて行っている


と聞き出せた





悟浄は夜更け過ぎ
1人北西の森へと足を踏み入れた









パキ…









枝を踏み分け
森の奥へと進んだ









「ったく…
ジメジメしやがって
髪結ぶか」









悟浄は後ろで髪を1つに纏め
木に寄りかかり空を見上げた


木々が鬱蒼と生い茂り
空すらも覆い被していた








シュボ…









タバコに火を着け煙を吐く








シャラ…









ポケットから取り出した
対になった翡翠のピアス







「こんな形で2つ揃うなんてな
ったく…早く持ち主に返してやんねぇとな」








ピアスをぶら下げ
人差し指で軽く弾くと
ゆらゆらと揺れ

まるで涙の様に輝いた














ギィ―…









廃墟と化した屋敷の門を開ける




屋敷のガラスはあちこち割れ

壁もあちこち崩れ掛かっていたり罅が走っている








「こ〜りゃ化け物でも出そうな雰囲気」








やれやれ…と首を掻き
悟浄は屋敷へと立ち入った






.

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