導き・四


ガチャ―…!









悟浄は慌ただしく酒場の扉を開け息を上げながら店内を見渡した



カウンターへ急ぎ
身を乗り出しマスターに聞く








「おいっ!ここに桟吟って奴はいるか!?」


『何だ兄ちゃん
俺に何か用か?』









悟浄の後ろから低い声が響いた








「あんたが桟吟か?」


『そうだが…あんたは?』


「あんたに聞きたい事がある
以前人攫いが連れていた女が落としたピアス
あんたが持ってるって聞いたんだが持ってンのか?」


『ああ あるぜ?』


「それ見せて貰えねぇか?」


『ほらよ』









男が悟浄に向かって投げた


パシッと片手で受け取り
恐る恐る手を広げ

悟浄は顔を伏せた









(惷香…ッ!)













悟浄はピアスを再び握り締めた








「なぁ悪いんだがこのピアス
俺に預けてくれねぇか?」


『あぁ
そりゃ構わないぜ
俺が持っていても必要のない物だからな』


「すまねぇな」









悟浄が酒場から出ると八戒達が心配そうな面持ちで立っていた








「悟浄…」


「あいつ…だったみてェ」








悟浄はフッと笑ってすぐ
影を落とした…







.

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