導き・弐


「ん!この餃子…やべェ
悟浄食ってみろって!」


「どれどれ…
んッ!こりゃやべぇ…」








西へと旅を続けている三蔵一行


それはいつもの夕飯時に起こった出来事だった








「おい
やべぇって何だ
やべぇなら食うな」


「三蔵
やべぇってヤバい位凄いって意味なんですよ」


「何サンゾーサマってば
遅れってるぅ〜」


「三蔵!三蔵!
三蔵も使ってみりゃいいじゃんか!」









「………
やべぇ
てめぇら死ね


「「ひぃぃぃぃぃ!!」」








相変わらずの風景


そんな時他の客から噂話が聞こえて来た








『なぁなぁ聞いたか?
最近人攫いが流行ってるの』


『ああ
噂じゃ女ばかりを誘拐してるとか言う話だろ?
まるで神隠しだって噂じゃねぇか』








客の話に耳を傾けた八戒がポツリと呟いた








「人攫い…ですか
神隠しとは妖怪の仕業でしょうか」








三蔵はタバコに火を着け
椅子の背もたれに寄りかかった








「だろうな
まぁよくある話だ」








客はまだ話を続けていた








『噂じゃ東の町から何人か誘拐されちまって
既に殺された娘もいるらしいじゃないか』


『確か誘拐しているアジトはこの町から近いって噂だよな
怖い怖い…』









「だったらやっつけたらいいじゃんか」







悟空はテーブルに両肘を付いて
顎を手に乗せ
ぶーッと不満そうに言う








「普通にゃ無理だろって
飯も済んだし行くとすっか」








とガタリと席を立った時

客の話が耳に入った








『何でも最近連れて来られた娘は片耳だけにピアスをした娘がいたって見た奴が言ってたぜ』


『片耳だけ?
ああ
あの緑色みてぇなピアスをした女だろ?
何人か見た奴がいるってな』








悟浄はガタリと客に詰め寄った







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