夢現・八
「またどこか怪我でもしましたか?」
「いや…
今日は個人的な用で来て貰ったんだ」
「何です?」
俺は惷香の真面目に立ち
真っ直ぐに惷香を見つめた
「あの…?」
困惑した表情を見せる惷香に
俺は本能のままに動いた
「―――ッ!?
いやっ!!」
抱き締めた瞬間
惷香は慌てて治療道具を俺に投げ付けた
ガシャン―――!!
と、俺の肩に当たり
バラバラっと床に散らばった
肩からツウッ…と血が垂れ
俺は指先で血を拭い舐めた
怯えた表情で離れた惷香は
扉へと走ったが俺は手を掴み
床に押し倒した
「な…に するの…
止めて…お願い…」
ガタガタと震え瞳には
溢れんばかりの涙を溜め
俺に懇願する
「俺はお前が好きだ…
お前を手に入れたい
お前の全てを―――!」
俺はそのまま惷香の唇を力づくで奪った…
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