夢現・七
惷香が夕方
門を通るのも
あの金蝉童子に会う為だと
後で知った――――
何て俺はバカなんだ
俺は再び
深い闇に飲まれ掛けた
だが惷香は相変わらず
俺に向ける言葉や笑顔は
俺だけの物―――
そして俺は惷香を呼び出した
「焔?
どうしましたか?」
夜の帳が降りる頃
俺は自室に惷香を呼び出した
惷香は治療と勘違いしたのか
白衣に治療道具を持参し
ゆっくりと部屋と扉を開けた
「待っていた惷香
入ってくれ」
俺は惷香を招き入れると
ゆっくりと惷香に近寄った
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