夢現・六
白い肌
潤んだ瞳
長い髪
柔らかそうな唇
どこを見ても俺は心が跳ねる想いだった
そこに1人の男が現れた
トントン――ガチャ…
「おい惷香
いつまでやってんだ
早くしろ」
金糸の長い髪
紫色の瞳
コイツは確か――…
「あ、金蝉
ちょっと待ってて…」
惷香はほんのり頬を染めた
まさか…
俺の予感は的中した
男は 金蝉童子
惷香の婚約者だとの噂で
観世音菩薩の甥
俺の中でこの金蝉に対し
黒い想いを抱いたのは
この頃かもしれない…
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