夢現・弐
俺は物心が付いた頃には
薄暗い地下牢で
手足に枷を付けられ過ごしていた
それが当たり前だと思っていたし
別に何かした訳でもない
ただ父親は神で
母親は人間だったと言う
俺は地下牢を監視する奴らに
『禁忌の子』そう言われていた―――
幼い俺は禁忌も知らず
ただいつも座って
監視する奴らの話をぼんやりと聞いていた
『コイツいつか殺されるんじゃないのか?』
『まぁこんな場所にいたら
いつか死ぬだろうよ
例え半分【神】だろうがな』
死ぬ…?
俺は死ぬんだ…
俺は死ぬ事を強く望んだ
何故なら
死ねば自由になれるから…
.
[ 62/216 ][*prev] [next#]
[目次]
[栞挟]
書物一覧に戻る