翡翠の涙・四


次の日の朝


西へのルートを確認する三蔵と八戒は朝から地図を広げていた








「そう言えばこの町から西へ向かうには この山道しかないって宿屋のおじさんが言ってましたよ」


「なるほどな
ならばその山道を超える支度が出来次第出発だ」









三蔵と八戒の話を横で聞きながら悟浄はぼんやりと外を眺めていた








「おい悟浄ッ!
暇なら山道の詳しい話をどっかで聞いて来いッ!」








三蔵が不機嫌そうに悟浄に当たり








「はいはいサンゾーサマ」








と、面倒臭そうな面持ちで宿屋を後にした


悟浄は町の中を片手をズボンのポケットに突っ込み
くわえタバコで歩いていた








「ったくよー人遣いが荒いんだっつーの」








自然に漏れる愚痴に悟浄は
ますます不機嫌さが増す


フと昨日ピアスを拾った場所の横で昨日の女を思い出した









(そう言えば昨日のお嬢さんに名前すら聞けなかったな…)









悟浄はクルッと昨日行った建物の間へと足を運んだ




昼間でも日も当たらない場所で
悟浄は壁や周りを見ながら進んで行くと
何かが床でモコモコ動いてるのが見えた








(猫か…?)









悟浄が近寄ろうとした時
気配を感じたのか

その何かがガバッ!と起き上がった




それは猫ではなく人間


しかも女





翡翠の短い髪
青い瞳の女――――




顔や服はアチコチ汚れ
酷く警戒している


悟浄は両手を上げ









「おっと
なーんもしねェぜ?
ちょっと寄っただけなんでな」









と軽く笑った


すると女は驚いた様に目を見開いた









「その声…!
アナタ昨日夜ここに来ましたよねッ!?」


「ん?あ…
もしかして昨日のお嬢さん?」








悟浄の問いに彼女はコクコクっと頷いた





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