桜散る・九


次の日


惷香は現れなかった



俺はいつもの時間に入り口で待ってた





惷香に柿をあげたくて









また一緒に同じ景色を見たくて









俺は初めて会った
【女】って存在を大切にしたかった…














夕刻




入り口で柱を背に座る俺の頭に

三蔵が手を置いた



顔を上げると三蔵も
すっげー寂しそうな顔をすっから
俺は涙が出たんだ











三蔵は泣きまくる俺に
胸を貸してくれたんだけど












鼻水付けて怒られた










なぁ惷香










もし…もしも





これが【恋】って言うならさ










俺は惷香に【恋】



してたんだぜ?











悟浄にこんな話なんかしたら






『お子ちゃまだね〜』









なんて笑うから言わないけど









俺ぜってー惷香の事




忘れねぇから








男っぽい口調も



ツンっとした強気な所も




たまに見せる弱さも



全部俺は忘れねぇよ










あの日


三蔵の動いた口は…
















今夜魔獣に喰われるんだよ…










桜散る・fin

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