桜散る・六


「女の身体には簡単に触れてはいけないんだ!」


「そう…いうものなのか?」








更にしょんぼりとする悟空に
溜め息後惷香は視線を合わせる様に座り込んだ








「叩いて悪かった…
けどお前が悪いんだからな」








顔を赤らめる惷香を見て
悟空は胸がギュッとなった…














夕刻になると惷香は一緒に来ていた人間と帰って行った


夜になり三蔵がやっと部屋に疲れた顔で帰って来た








「ったく
無駄に長い話なんてしやがって」


「なぁなぁ三蔵
あのさ今日来たヤツで惷香ってのいたろ?」


「あ?
何でてめェが知ってんだ
お前部屋から出るなっつったろうが!」


「ゴメンって!」


「ったく…」









三蔵は溜め息混じりに頭を掻く








「ああ
あの女は幼い頃妖怪に襲われた際にどうやら魔獣と無意識の内に契約をしてしまったらしい」


「それって…」


「相手の親から魔獣を取り除いて普通の生活を送らせたいそうだが
なかなか上手く行くとは言えん
暫く時間が掛かるだろう」








目頭を指先で支えながら
三蔵はフーッと溜め息を漏らし
椅子にドサリと座る








「じゃあまた惷香は来るんだよな?な?」


「あ?
まぁ来るだろうな」


「そっか!
あんがと!三蔵っ」








悟空はバサリと自分のベッドに潜り込んだ








(まさかコイツ…
まさかな…)









三蔵の心配を余所に
悟空はまた惷香に会える事を楽しみに眠りに付いた






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