桜散る・参


「クスクス…」









庭先から声がした









「誰かいんの…?」







廊下の手摺りをヒョイと飛び越え
声がした方に裸足のまま向かう


庭石がジャリジャリと音を立てる


声の持ち主は全身白いローブで包まれ
頭までもフードを被った人がいた








「あ、ゴメン
素直な事言うからつい面白くってさ」








声の持ち主はローブで指先まで隠れた袖を口元に当てて
クスクスっと笑う









「あんた…誰?」









悟空は顔を覗き込もうと
軽く顔を下げるものの

見せたくないのか
フイッと横を向いて顔を隠す








「わた…
俺は玄奘三蔵様に謁見に来た付き添い…と言うか…」








もごもごと煮え切らない様子で話す様子に
悟空は「ふーん?」

とだけ言うとニカッと笑った








「なぁなぁ
お前は飯食った?
向こうにさ、うまい柿があるんだ
行かねェ?」


「え?
でもここから動くなって言わ…」









グイッ!









「すぐ戻ればダイジョーブだって!」








悟空はローブの人の腕を掴み
走り出した








.

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