血の夜/八

 
「冗談でも言わない方がいいぜ?そーゆー事」


「え…?あー…
でも もし悟浄さんがヴァンパイアなら…私は本当に生涯を共にするヴァンパイアになりたいって…
1人には…させ…たく…」


「ン?おい?」















暖炉前の1人掛けソファの肘掛に寄りかかるように
惷香は眠ってしまった

自分が悟浄に寄せていた願望だけを勢いのまま伝えただけで
安堵の表情で寝てしまっている















「だから1人暮らしの男の家で安心し過ぎだってンだよ…」















頭を掻いて悟浄はため息を漏らす


惷香を見つめて困ったように眉尻を下げた















「ったくよォ…
本気じゃなかったら恨んでくれよ?」








そのまま惷香の意識は途絶えた――
















……
………
…………















「ン…まぶし…」















目を覚ました惷香は大きなベッドで1人寝ていた
部屋のカーテンは遮光カーテンだろうか

外の明かりが全く部屋には入ってこないが、カーテンレール部分を見れば外が明るいのは分かった。














「今何時…10時!?
昨日飲まないお酒飲んだからあのまま寝ちゃったのかァ〜…」














携帯の時計を見て頭を抱える
だが、それと同時に ここは悟浄の家だと言う嬉しさで布団を被ってニヤけてしまう。

しかし、その悟浄がどこにいるのか














「何だろ…遮光カーテンなのに凄い眩しい…
目痛いな…
ここはどこの部屋なのかな」















ノソリとベッドを出て、足元にあるスリッパに足を入れ
左右見渡しながら部屋を出た。

右を見ても左を見ても同じような間取りで、どこにある部屋か全くわからなかった。






とりあえずで部屋を出て左へと進み、降りる階段を見つけて階段を下りた。


どうやら寝ていた部屋は2階だったようで、昨日食事をしたダイニングがあった。
ダイニングへ入るといつの間にか用意されたモーニングがある。

ただ昨日惷香が座った席に1人分のみ…














「これは私の…?
でもこれまだ温かい…」














昨日の夜同様にいつ、誰が用意したのか不明
左右の部屋を見ても誰もおらず、人の気配もない。














「妖精か!!」















昨夜同様に納得して遠慮なくモーニングを頂く。
クロワッサンにサラダ、スクランブルエッグにベーコン。
スープに果物、オレンジジュース。



普通に満腹になる
が、何故か満たされない。



不思議に思いながらも食べ終えた後に城内を探索を初めた。
2階を歩けば色々の部屋のカーテンが開いている部屋には入れないのを気づいた















「な、なんで?
明るい部屋に入れない…
気持ち悪くて眩しい」















もしかすればこれが二日酔いなのかもしれない。
そう思いながら寝ていた部屋のベッドへ再び潜り込んだ


ダルイ。
眠い。





二日酔いってこんな感じなのかと思いながらウトウトと寝てしまった
















「…い
…おい
起きろって。ダイジョーブか?」


「ン…?」















ユサユサと揺らされた身体
大きな手が惷香の二の腕で身体を揺するように触れたまま















「悟浄…さん?」


「体調はどうだ?
ダルいだろ?」


「え?あ、今は…」













見渡せば暗い部屋に悟浄が持ってきた明かりが灯っていた。
カーテンレールの部分を見れば寝る前に見た明るさはなく、既に日が落ちたようで…















「え、あっ!!
ごめんなさい!!私昨日あのまま酔って寝てしまって!」


「あーそりゃいいけどよ。
今はダルさとか吐き気はねーの?」


「え?あ、はい。
今は別にないです」















10時に起きた時に比べ 凄くスッキリしている。
再度寝たからか体調も落ち着いたようだ。















「1つ聞きたいんだけどよ」


「え?何ですか?」


「昨日アンタが言ってた事。
本気なのか?」


「昨日言ってたこと?」









.

[ 213/216 ]

[*prev] [next#]
[目次]
[栞挟]
書物一覧に戻る



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -