血の夜/七

 
寒いのもあり、地下の探索は早々に切り上げて1階へと戻る

悟浄が身体も冷えたし食事の用意をすると大きなダイニングに案内された。















「え、この料理は誰が用意を?」


「さー誰だと思う?
まァ俺じゃねー事は確かだけどな」















誰かがいるとは思えなかった。
そもそもここには『1人で住んでいる』と…


人の気配はない
じゃあ…















「まさか…妖精!?
何か見えないモノがいるんですか!?」


「クククッ
いい反応をするねー
ま、冷えない内に食っちまおうぜ」


「あ、は、はい」















慌ててセットされた席に座り食事を見渡すと
スープやサラダ、メインなどコースメニューが並んでいる。

悟浄はワインを惷香のグラスへ注ぎ
自分のグラスを離れた席で上に掲げた













「ンじゃ頂くか」


「いただきます!」

























グラスを同じように掲げ
1口飲めば甘さで飲みやすいワインに安堵した。

並べられた食事もとても美味しく
食事を終えた頃にはほろ酔い気分になっていた













……
………
…………














「は〜…ごちそう様でした。
本当おいしかったです」


「あれだけ心配してたのに食ったなー」


「だって本当美味しくて…
もし妖精が作ってくれていたなら感謝したいだけです!」


「そうか。
だけど警戒心がないのも問題じゃね?」


「警戒心ですか?」


「男の1人暮らしの家なんてホイホイ来るモンじゃねーし」


「あ、そうか…でも悟浄さんなら大丈夫かなって」


「それってむしろ男としては嬉しくねーだろ」















食後に他愛のない話をしながらリビングへと移動し
暖炉のある温かみのある部屋でホットワインを飲む














「それで?
希望のモノは見れたのかよ」


「いいえ。
霊的なのはありそうですけど、未確認生物はいそうにもないですよねェ」


「いたら良かったってか?」


「そりゃ見たいですし会いたいモノですよ」


「凶暴だったらどうすンだよ。」


「う〜ん…悟浄さんに助けて貰います」


「俺がその未確認何とかっての?だったらどーすんだよ」


「悟浄さんがかァ…
悟浄さんはヴァンパイアでしょ〜」


「は?」


「私の中でヴァンパイアって怖さはないんですよね。」


「オイオイ…
血ィ吸って相手を殺す事だったあンだぞ?」


「でもヴァンパイアに吸われるとヴァンパイアになるっていいますし
そもそも番になる相手の血は全て吸わずに伴侶として相手をヴァンパイアに変えるって言いますよね
何百年も1人で生きるよりきっと楽しい」


「まァそうだけどヴァンパイアになるってフツーねェだろ
何百年も死なずに生き続けるんだぜ?」


「そうですねェ…
でもきっと私は幸せになれそう」















クスクスと笑いながらもホットワインを再度注がれ
暖炉の火が揺らめいて眠気も襲ってくる




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