血の夜/参

 
夕日も落ちて薄暗くなり始めた図書館
そこで街灯の明かりで照らされた彼の外見に息を飲んだ。


赤い髪に肩までの長いストレート
整った顔立ち
長身に筋肉質な体型




オタクである惷香にとって
全く関わりにもならなそうな男性だった。














「あんたよくココいるけど
その本好きみたいだな」


「え…あ、はい…」














会話を続ける事が出来ない。
コミュニケーションを取る事が苦手な惷香にとって、彼は眩い存在だ



彼は惷香が戻した本棚を見て
微笑をこぼした













「こういうのが好みなんだ?」


「あ、はい…好きです…」


「へェ?
オレと合いそうだな」















クス…と笑む男性の顔から視線を外す事が出来なかった
惷香自身、人の目を合わせる事おろか 顔を見る事なんて苦手な筈――


しかし金縛りに合ったように動けなくなってようで
後ろの本棚にガタリ…とよろけるようにぶつかってしまった















「おいッ
ダイジョーブかよ!?」


「え、あ、はい…す、すみません大丈夫です…」


「…手ッ」


「え?」














ぶつかった拍子に切れたようで
一筋の切り傷から真紅の血が流れた

慌ててバッグからハンカチを探し、取り出した時にはケガした手は掴まれていて















「血…出てンじゃねーか…
ッたく…」

「え…あのッ!」














――ペロッ……



ヒヤリとした感覚が傷口に当たり
舐められたのだと知ったのは数秒後の事だった





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