夢の為に/4






……

………















「当時は三蔵と悟空との知り合いだなんて知りませんでしたけど」















八戒はクスクスと笑う。
当時、まだ惷香は有名には程遠い下積み時代。

三蔵と悟空との出会い後に八戒と出会ったのだが、八戒と出会った時に言っていた惷香のデビューのステージに2人が来る事にはならなかった。



それはデビュー前日に惷香が妖怪に襲われてしまったからで…


















……

………
















その日、いつもの河原で練習後に店に戻ろうとしていた。
大通りに差し掛かった時、異変に気がついたのだが
時既に遅く―――















「ひゃはあああ!」


「なッーー!?」















目の前に突如として現れた影に避ける術はなかった。
手で顔を隠すように背けるのが精一杯で、そのまま体制は崩れ、妖怪に背を見せる様に前屈する格好になった。


そのままスローモーションのように倒れる身体に、妖怪の鋭い爪が伸びて……












――ザシュ…













爪は腰と左ふくらはぎに深く赤い線を入れると、妖怪はそのままターゲットを変えるかのようにその場から離れた。














「く…う…」


「おい!どうした!」


「惷香!だいじょーぶか?!
誰にやられたんだよ!」


「三蔵…?悟空…か。
妖怪が…向こう行ったけど…いってェ…」


「動くな。
今止血してやる。悟空。あっち(妖怪)行ってこい」


「おーけー!!」















三蔵は懐から手ぬぐいを取り出すと、切られた部分に巻きつけた。
同時に悟空は妖怪を追うように立ち去っていて、傷口からジクジクと痛む感覚と熱さで意識が朦朧として来てる。












「おい。しっかりしろ。
意識飛ばすんじゃねえ」


「いてー…ンだっての…いや、マジで…
医者行かないと…縫う?マジ縫っちゃう…?」


「この傷口なら縫うハメにはなるだろうな。
病院はあっちだったな」















三蔵はそのまま惷香を抱き上げると、スタスタと歩き出した。
意識が朦朧とする中、恥じらいも意識からは遠のいていて、そのまま意識も手放してしまった。



意識が戻ったのは傷口を病院で消毒された痛みで発狂した。







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