大切なもの/五


フォン――…









繋がれた両手首を皆無に
現れた刀。




焔はカミサマに向かい
刀を振りかざす。









「貴様の行為は万死に値する。
死を喪って償え。罪人よ」


「……お兄さんの言う事
難しいな。
だけど…」









カミサマはクスクスと笑いながら、法衣をふわりと翻しつつ
焔へと金剛杵を向けた




まるで宣戦布告の如く。









「僕も男だからね。
渡したくないのは
渡さないよ…!」









カミサマの言葉を皮切りに
焔とカミサマの闘いが始まった…









ガキン!!








金剛杵と刀が火花を散らす





互いに睨み合い
口元はうっすらと笑みを浮かべる









「…ほう
やるな。だが…」









焔は刀を振り上げた





カキン…!と言う無機質な音が響いて、惷香は息を吸うのも忘れた









「焔ァッ…!」









咄嗟に出た。


この時代
会った事のない男の名を…








「惷香……?」








惷香の言葉に
焔の手が止まった。








「ばーか。」









クスリ。
と笑うカミサマ。


ドンッ!と放たれた金剛杵からの珠は、焔の全身に無数の穴を空けた…








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