大切なもの/参

 
「…ねぇ『先生』
経文手に入れたし
【あの子】も手に入れたよ?
――どうして貴方は経文だけ
『俺』にくれなかったのかなぁ…」









カミサマ――…



彼は寝そべりながら宙に手を翳しながら一人、応えのない言葉を投げていた。





肩には奪った三蔵の経文…

そして違う部屋に傷だらけで人形の山には、惷香がどうにか肺に息を取り込もうと肩で息をしていた…








「はッ…かッ…!はッ…
く、ゥ…」









あちこちが痛い…


出血に対して止血が追いつかないみたいだ






体温も下がっている…








それから惷香は自力で治癒をしている中、カミサマは惷香に囁きに来る日々が始まった……





蝕まれる心は
すんなりと闇に呑まれようとしている時、一筋の光が惷香に射したのだった










ドゴ――…ンッ









粉砕しながら飛び散るステンドグラス



キラキラと光る破片に
何が起きたのか分からず
惷香は床に寝そべりながら目を丸めた








ジャリ――……









「見つけたぞ惷香…
やっと…お前を。」


「だ…れ…?」


「神様、だ。」


「かみ…?」









逆光で見えない姿
3人の男性…?はゆっくりと近付いて来た





差し出された手


惷香はさすがに戸惑った

だが、あの"カミサマ"に捕まったままでいるよりは…





と、上半身を起こし
手を差し出した時









「誰 キミ達。」


「現れたか…」


「よう偽者さんよぉ」


「……勝手な事されちゃ困るなぁ
惷香ちゃんは僕のだよ」


「貴様には過ぎたる物だ
経文共々、返して貰おう」





.

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