大切なもの/弐

 
「どうした。」


「三蔵一行がとある人物と接触し、惨敗したそうです。」


「惨敗…だと?」


「はい。
報告によれば大半は重症にて暫く動けな…」









ガッ――……!












紫鴛の言葉途中に、焔は立ち上がり紫鴛の胸ぐらを掴んだ









「惷香はどうした?!」


「がっ…はッ…!
落ち…着いて下さい…焔」








スッ…と焔の手に触れた
もう1つの手。


掴んだ紫鴛の襟元が緩み
紫鴛は息をやっと吸い込む








「落ち着けよ焔。
紫鴛に当たるのは筋違いだろうが!」


「…すまん。」


「大丈夫です。
…惷香はどうやらカミサマと言う人物に瀕死の状態で捕まっている様です。
焔…」


「……分かった。」








焔はそれ以上聞く事なく衣を翻し、謁見の間の出入口のドアに向かった








「紫鴛。」


「はい。」


「是音。」


「ああ。」


「その"カミサマ"から惷香を奪い返す…!
力を貸して…」


「まてまて」









焔の言葉途中
焔の背後にいた是音は肩に銃をガシャ…と乗せて言葉を止めた








「それ以上言うな。
俺達が天界から降りて来たのはお前の全てに着いて行くと決めたからだ。
従うぜ。何にでもな。」


「…ですね。」









是音の言葉に微笑した紫鴛




焔は目だけを2人に向けたが、フッ…と笑みを浮かべ目は真っ正面を向き、闘志と言う気迫が全身に纏う…








「惷香を奪回する。
三蔵一行にも…
渡しはしないッ…!」








謁見の間の扉が開き
3人は足音だけを響かせて
光の先へと進んだ。





.

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