loved one・六


惷香の涙に気づいた三蔵はハッとして我にかえる。





「…お前は 何がしてーんだ」




その声はとても弱々しく、今までの勢いはなかった。



「何で他の奴はよくて
俺はダメなんだよ」



怒りをできるだけおさえた口調だった。



「だって‥
だって三蔵は…」









三蔵は他の人とは違う



ぜんぜん違う



この気持ちは…









「なんだよ」


「ちがうのっ‥」





惷香が下を向いて首を振ってしまうと三蔵は







――ぐいっ






惷香の顔をよせ、強引に唇を奪う。





「っ! …んっ…‥」






拒む惷香の力はすべて三蔵の力に負けてしまう。





何度も角度をかえ、逃げ回る舌を追いかける。





息もあがり、抵抗することができなくなった惷香を三蔵はゆっくりと解放した。





「‥な…なんで…‥」


惷香からでたのはその言葉だけだった。



「お前が言わねーからだ

早く言え 何故俺を避ける」





心臓が爆発するんじゃないかってくらいおかしくて


もう 頭の中がグチャグチャで分からなくなっていた




だからもう頭で考えるのをやめた。





私が あなたを望むの




ただそれだけ






「好き‥


三蔵が… 好き」





三蔵の目に惷香の目がうつる。








「っ‥‥!」







三蔵はその腕で、
ぎゅっと惷香を抱きしめる。






「馬鹿野郎…


だったら逃げんじゃねぇよ」







「うん…」





そして今度は優しいキスをした。







.

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