loved one・四







部屋に入ると、惷香はどこかほっとしたように息をついた。





―どさっ





惷香はそのままベッドに倒れ込んで、まくらに顔をうずめた。



「悟空 先シャワー浴びてきて」


「う うん」



悟空はモヤモヤする気持ちをおさえながら部屋についているバスルームにむかった。



「…ぅ…‥」



悟空が完全に見えなくなって、おさえていた涙と感情があふれだす。



「グスッ……」



なくまいと思えば思ううほど枕の色は変わっていった。



「だめだよ…
だめだよこんなんじゃ‥
好きだって…バレちゃうじゃん…」



妖怪から私を守ってくれたとき。


すごく近くて あつくて

心臓の音がうるさくて

頭の中が真っ白になって



それから三蔵なんか意識しちゃって



目が合っただけで恥ずかしくなって、話もでくなくて



今までどんなふうに話てたんだろうって考えれば考えるほど分からなくなって…



妖怪から助けてくれたこと




「ありがとう」 って言えなかった。










「…好き‥

大好き……」



もしこの気持ちを伝えたら


私は旅は続けられない




もう三蔵と一緒にいられない。







.

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