loved one・弐

しばらくして三蔵一行は宿についた。



そのころには二人の手はさっとほどかれ、

いつもどおりであったが惷香はいつもよりどこか楽しそうだった。



「ごちそうさまでした」


「ごちそーさん」



それからいつものように楽しく夕食をすませ食堂の席を立つ。



「あっ部屋割りどーすんの?」



まだ部屋割りが決まっていないと悟空が三蔵達にたずねると



「……」


「‥部屋割りはのちほどになりそうですね」



急に様子が変わった三蔵と八戒の意味ありげな言葉に悟空は首をかしげた。





すると次の瞬間‥




――ガシャーン!




ガラスが割れるような大きな物音。



「見つけたぞ 三蔵一行!!」



妖怪たちが破った窓から次々に入ってきた。



「やれやれ こんなに店のものを壊して」


「お仕置きが必要みてぇーだな」



悟浄は食後の運動になると武器をかまえる。


食堂にいた人たちの悲鳴が聞こえ、人々はバタバタと走って逃げ出す。




「経文を渡せ――っ!!」




あっという間に食堂は三蔵達と妖怪だけになった。


惷香は三蔵の後ろに隠れ、闘いが終わるのを待っていた。


数分もすれば妖怪達の殆どが倒れたり、逃げたりをしてあっという間に人数的にもこちらが有利になった。


すると残った妖怪の一人が惷香に目をつけた。


惷香と三蔵との距離が離れた隙を狙い、長い爪をだして惷香にむかっていった。



「――惷香っ!!」



それに気づいた三蔵はすぐに惷香のほうに走るが、間に合わない




ガゥンッ!




三蔵は足をふみきり、足が地面から離れたところで妖怪に発砲した。





――どさっ





その弾があたり妖怪が倒れたときには三蔵は惷香を押し倒し、かばうような形で二人は地面にふしていた。



「三蔵っ 惷香 大丈夫か!?」



妖怪を片付けた悟空は二人のもとへ駆け寄った。



「…チッ」



舌打ちして三蔵はゆっくりと惷香の上をどく。



「惷香 大丈夫か!?」



悟浄が手をかしてゆっくりと惷香をおこす。






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