loved one・壱

「さっ つきましたよ」



八戒の言葉で三蔵一行は長い間乗っていたジープからやっとおりる。


「わ―い飯だ! 飯!」


「バーカ 宿屋を探すのが先だろが」



村というよりは栄えていて

見る人並みもみんな明るくていい町だ。



そしてぞろぞろとその町とは似つかない格好をした三蔵一行は歩き出す。




「さ〜んぞっ」



惷香は三蔵の隣に並ぶと嬉しそうな笑みを浮かべた。





「……。」





町の大きな道には店がたち並び、人通りも多くわいわいとしていた。



「やっと宿がありそうだね
何食べよっかなぁ〜」





そう言ってうかれていた惷香だがその数秒後…



三蔵の隣から急に声がしなくなったので三蔵はふと横に目をやると、惷香の姿がない。



「……!?」



三蔵は辺りを見渡すといつのまにか人混みの中にいた。

そして何メートルか後ろに悟空達が歩き、惷香はというと人混みに流されて人が少ない店の角で動けなくなっていた。



「ハァ…」




三蔵は小さくため息をつくと、人の流れにさからって惷香のほうにむかった。



「あれ 三蔵と惷香は?」



さっきまで視界の先を歩いていた二人が見えなくなり、八戒がそういうと



「あっ! これうまそっ」


「おぉ 何だコレ」


悟空と悟浄はどうやら食べ物に目がいってしまっている。







そして身動きがとれなくなっていた惷香は店の角で小さくなっていた。



キョロキョロと背伸びをして三蔵を探したものの、人混みでのこりの三人の姿すら見当たらない。



うっすらと目に涙を浮かべてとうとう下を向いてしまった。

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