親友・五



嫦娥の治療に部屋へ行く度
必ず嫦娥は部屋にいなくなる事が多くなった




暫くすると 傷口が開き
腹部を抑え 真っ青な顔で部屋に戻って来るのだ




彼女に何をしていたか訪ねても
彼女は笑いながら謝るばかりで

傷口を広げる程 何をしているか


聞く事が出来なかった







傷口を治療しながら
嫦娥はいつも惷香に様々な質問をし 自分の話をする


好きな食べ物から趣味
年齢に名前




惷香は嫦娥の質問責めで
知らない間に嫦娥の事も理解出来る程になっていた



そんな頃
惷香は観世音菩薩に呼ばれ

悟空と金蝉に出会った…









「あらおかえりなさい
一体何用だったの?」








医務室に戻った惷香を出迎えたのは大分傷も治り 歩き回っていた嫦娥だった







「また部屋から出て
大人しくしていたら1ヶ月程で帰れたのに…」


「もう治ったわよ
で?一体何を言われたのかしら
惷香は顔に出さないから分からないわ」








嫦娥はクスクスと笑い
惷香の顔を覗き込む








「大した事ではないわ
ただ…」


「ただ?」


「私より物事に無関心そうな人がいたなんて…」








惷香の言葉に嫦娥は片眉を上げ 不思議そうな顔をした








「そんな人いたかしら?」


「ええ…
って、嫦娥は部屋で休んで下さい」


「ケチねェ」







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