誕生日・弐
「29日って…」
「ああ
だから悩んでいたのですか」
「肉の日ってかァ」
日にちで察した八戒は
納得したようにニッコリと微笑んだ
八戒は そうですねぇ
と考えながらヤカンに火を着け
悟浄に灰皿を渡す
「何かあンのか?」
「三蔵の誕生日ですよ悟浄
だから惷香は悩んでいたんです」
「ふーん?」
悟浄は男の誕生日なんて関係ないとばかりに 軽い返事をしながら
タバコの煙で輪を作りながら遊び始めた
「あまり手持ちが…
だから料理とか あまりお金を掛けないでお祝いしたくて…」
「いいですね
後はケーキなんて作ったら如何です
きっと喜びますよ」
「ケーキ…かぁ」
「デザートはやっぱり
『私を食べてェん』でいいじゃねーか」
「悟浄教育的指導」
内容までは聞こえないものの
ワイワイと騒ぐ台所の騒ぐ声を
『何騒いでいやがる』
と三蔵は違う部屋でイライラと
不機嫌さを増しながら様子を見ていた
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