恋多き男・四



三蔵に見えない様に悟空は
チラチラと三蔵の様子を伺いながら声をひそめた









「実はさ…惷香の事で
いきなり三蔵が悟浄に怒ったんだよ」


「え?私?」


「悟空 どういう事です?」


「何かいきなり三蔵がさ
悟浄に惷香の気持ちが分かってるだろとか
女にモテるのはどうとか
何かよくわかんねえけど
いきなり怒ってさ…」


「ちょ、ちょっと待って悟空
三蔵が悟浄にそんな事を…?」


「うん…
それで悟浄が怒ってさ…
止めたんだけど…」








悟空は顔を俯かせ 申し訳なさそうな顔をする







「悟空…」


「悟空
悟空が悲しむ必要はないよ
気にしないで…」







精一杯笑う惷香の顔は
悲しみで溢れていた








部屋を飛び出た悟浄は
俯きながらポケットに手を入れ
タバコをくわえたまま町を歩いていた








「あー…っクソ!
一体何なんだよ三蔵のヤツ!」







頭をガシガシと荒々しく掻き
不機嫌さに溢れていた







悟浄はそのまま酒場へと入る





地下にある酒場は薄暗く
カウンターに2人掛けのテーブルが2、3ある程度の広さしかない

こじんまりとした店で


店内には地下だけではなく
灯りは全て蝋燭のみの灯りと言うムードのある店だった








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