我儘弐・七


「あの…玄奘様…」








山から降りようと三蔵と悟空は階段を降り始め


惷香の声に足を止め振り返った









「私は…生きていて良いのでしょうか…」








フルフル…と小さく震え
俯き袴を握ったまま惷香は小さな声で尋ねた








「…………
何故俺に聞く」


「三蔵ッ!
そんな言い方しなくたって!」


「うるせぇ!
お前は生きるのも死ぬのも
周りが決めないと出来ねぇのか
だったらさっさと死ぬんだな」


「ッ…!」









三蔵はタバコを落とし
グリッ…と踏み潰した








「お前はもう自分で決めていいんだ
生きるも 死ぬも
この階段を降りるのもな」








三蔵はそう言うと再び歩き出し

階段を降って行く






三蔵に慌てて悟空は着いて行くものの
チラチラと惷香を振り返る








「〜〜〜ッ…!
玄奘様!
ならば…ならば私は貴方に着いて行っても宜しいのですか?」









涙ながらに惷香は三蔵に叫んだ









まだ階段を降りる一歩が出せないまま…





産まれてから今まで
降りた事のない階段…




先に何があるのか


不安だらけの惷香は
帰る場所もないのだから…








.


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