我儘弐・参


ズズ…ズ…ズ…









煙の中からゆっくりと惷香の姿が現れ始めた








「惷香!」









悟空は意識のない惷香が煙から解放され

倒れる瞬間に抱き止めた








「おいッ!惷香!」








気を失ったまま
目を開けない惷香に悟空は








「ごめんな…惷香…」








と呟くと思いっきり








ブチッ―…!









腰程まであった惷香の漆黒の髪を肩辺りまで切った…





切った髪を急ぎ三蔵に手渡す








「よくやった」









三蔵は髪を受け取り 再び呪文を唱えた







指の動きのままに操られ
漆黒の煙はゆっくりと三蔵の目の前にある壷に近寄って行く





だが煙は悶え苦しみ
拒否し始めながら地鳴りの様な声を上げた







グオ…オ…オ!!








「くッ…!」









三蔵は眉間に皺を深め
苦痛な顔を浮かべた








「三蔵ッ!」









悟空は倒れ込む惷香を抱き抱えながら心配そうに声を上げた








「ん………」









悟空の声で惷香がピクリ
と動いた――――






.


[ 109/216 ]

[*prev] [next#]
[目次]
[栞挟]
書物一覧に戻る



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -