我儘弐・弐


「うるせぇ!」








三蔵は悟空に怒りを露にすると壺を床に置き壺の前に胡坐をかいてドカリ…と座った








「三蔵ッ!?」


「少し黙ってろ」









三蔵は法衣をバサリ と正し両手を合わせると目を閉じた









「オン マニ オン…」








三蔵はブツブツと呪文を唱え始める





その間も漆黒の煙は膨らみ続け

建物の天井まで広がり始めた








「三蔵ッ!やべーって!」








悟空は三蔵に視線を向けた








「悟空!
煙が惷香から離れたら惷香の髪を切って持って来い!」


「ええっ!?」


「…………行くぞ!」








三蔵は片手を拝む様に口の前に構え
もう片手を二本の指を立て


漆黒の煙に向けた









ゴゴゴゴ―…!




地面がグニャリ…と歪む様な揺れと
漆黒の煙がウネウネと
まるで苦しんでいるかの様に
煙は三蔵の手の動きに操られて始めた









「オン………」









三蔵は冷や汗を流しながらゆっくりと煙を惷香から離して行く





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