我儘・九


「クソが!」









三蔵は慌てて建物へと走る






建物の入り口の板を蹴り飛ばして中へと入った





薄暗い部屋の中で膝を着いて
両手で肩を抱えていた








「おいッ!」









三蔵は惷香の肩をガクガク…と揺さぶる








「あ…ガ…くッ…!
逃げ…て…うああああッ!」








骨の歪む音がベキベキ…



と部屋に響き渡った




と、共に部屋にあった仏具が粉砕して崩れた―――








「な…ッ!」









悟空も慌てて建物に入る








「すげぇ妖気…ッ!」








惷香の口から漆黒の煙が漂う





煙は集まり徐々に実体化した







ズオオ…オ…







実体化した漆黒の煙は蠢き


苦痛な声を上げた









「三蔵ッ!
どうなってンだよッ!」


「惷香が言っていた妖魔は代々この寺の一族が体内に棲ませていたんだ
体内に棲ませて適齢期が来た時
妖魔は神子から解放される
その時最初に養分として喰われる役目が神子って訳だ…ッ!」


「な…んだよソレ…!
じゃあのままじゃ惷香は喰われるってのかよ!」


「そうだ
神子は生まれながらに絶大な力で妖魔を体内に封じる
だが適齢期と共にその力が半減した時妖魔は解放される
この寺の神子は代々産まれた女は17歳までしか生きていない」








漆黒の煙は建物からも漏れ始め
惷香は意識のないまま

漆黒の煙に包まれた








「アイツが完全に実体化する前にカタを付けるぞ!」








三蔵は銃を構えた――





NEXT…

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