我儘・八


10日目の朝



いつもの通りに悟空は惷香に朝食を貰い

テントで食事を済ませた




退屈そうに一人組み手の練習をしたりする悟空を建物の中から三蔵はチラッと見た








カタン―









空になった食器を両手に持ち

惷香は三蔵の横を通り過ぎて流しで食器をカチャカチャ…と洗い始めた





2日前に話をしてから
どこかぎこちない2人



とうとう期日の10日目となったものの
妖魔の気配もない上に惷香も焦りもしない事が三蔵は不思議だった




三蔵は言葉を発する事なく建物から出ると

建物の周りを悟空と共に見て回る








「…なぁ三蔵
本当に妖怪なんか出んのかな」








悟空は鼻をピクピク…と周りの臭いを嗅ぐ








「分からん…
ただあの女が嘘を言う様には見えんがな」


「この山にさ
全体的に変な結界があんだけど
これ俺平気だから妖怪には効かない結界みたいでさ…」




三蔵はハッ…とした







何故全く妖気を感じないのか



何故山全体に結界が貼られ

建物には厳重な結界があるのか







そして








何故惷香は一切建物を直さないのか…





直さない のではない



直せないのだ









直すには道具が必要で



道具は山から降り
町などに行かなければならない





惷香は一切山から降りない





降りれない理由――





惷香が結界から出れない















妖魔は 惷香の中にある







.


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