我儘・四


妖怪は代々現れる妖怪で
寺の血を継いだ女

神子を捧げる事で妖怪は消える




神子とは即ち



生け贄である―――








「なっ…?!」









三蔵はガタリと立ち膝を付いた








「代々我が寺の掟で御座います
私が生を受けたのも神子となる定めに御座います…」








惷香は困った笑顔を三蔵に向けた








「…ならば妖怪が消えるまで
俺は見届けなければならん
元々はその妖怪を退治する為に来たんだからな」








三蔵は立ち上がり惷香に背を向けタバコを取り出した








「構いませんがこの建物しか御座いませんが…」








10日間三蔵はこのボロボロの建物で寝食を共にしなければならなくなる








「しかも外にいる従者の方はこの建物には入れないですが…」








外を見ると悟空が退屈そうに座りながら足をバタバタさせていた








「構わん
しかもアイツは従者じゃない
下僕だ」








三蔵の言葉に惷香は一瞬目を丸くして
すぐにクスッと笑った








「玄奘様は面白い方ですね」








惷香は三蔵にクスクスと微笑んだ







三蔵は

生け贄となる生涯で笑っていられる惷香が不思議で仕方なかった…







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