我儘・参


三蔵は女の後を追う様に建物にすんなりと入った








「あら…貴方人間でしたか」


「アイツと一緒にするな」


「クスクス…すみません
こちらへどうぞ
今お茶を用意致します」


「気遣いは無用
で?妖怪についてだが…」








女は三蔵に背を向けたまま
三蔵の質問に応える








「…妖怪…よりは妖魔
と言うべきでしょうか」








女は大きめの湯飲みを三蔵の前に差し出した








「でかいな」


「今日は暑いですから
ぬる目のお茶に御座います」








三蔵は成る程と
暑さで渇いた喉を一気に潤した








「申し遅れました
私はこの寺の神子惷香と申します」


「神子?巫女ではないのか」


「ええ
私は生まれながらに神子に御座いますから
所で妖怪退治でいらしたのでしたね?僧侶様」








惷香は再び茶を三蔵に差し出した









「俺は第31代唐亜玄奘三蔵法師
命によりこの寺に現れる妖怪を退治に来た
妖怪が現れると言う話は?」


「確かに御座います…
ですが、その妖怪は周りの住人などに被害を与える妖怪ではありませんし…それに…」








惷香は顔を曇らせたのを
三蔵は見逃さなかった








「それに?」


「後10日程で妖怪は消える事となりますから…」


「どういう事だ」









惷香は俯き膝の辺りの袴をギュッと掴んだ






.

[ 99/216 ]

[*prev] [next#]
[目次]
[栞挟]
書物一覧に戻る



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -