五拾五


次の日の朝
惷香は爽快な目覚めで朝を迎えた

起きて横を見ると
悟空は布団を抱きしめながら








「うどん〜」









と涎を垂らし
悟浄は相変わらず胸まで布団を掛け寝ていた

その奥にいた八戒はどうやら三蔵と交代した様で
三蔵が向こうを向いて自分の腕を枕にして寝ていた


取敢えず髪を手で整えテントの外に出た

テント前では焚火で料理をする八戒がいた


「おはよう八戒」


「あ、惷香さん
おはようございます
よく眠れましたか?」


「ええ」


「それは良かった
何か雰囲気変わりました?」


「え?寝癖…かな?」


「ああ やっと"近く"に来てくれたんですね」








八戒は鍋を片手にフフッと笑った
昨日三蔵と話をした事で確かにこの4人との壁の隔たりは減った









三蔵って不思議な人――








朝の準備も整うと
またジープに乗り西へ西へと移動を始めた

昨日とは違いジープでの移動は痛む足にも助かるものだった








「あ、ちょいタンマ!
てめェカードすりかえただろ!?」

「摩り替えてねぇよ
目のサッカクじゃねーのー?」


「じゃあ今捨てたカード見せてみろよッ」


「ヤダね」


「〜〜このエロ河童ァ!!」


「ああッ!?やるかチビ猿!!」


「やらいでか!!」


「降りてやれ降りて!!」








後部座席でトランプをする悟空と悟浄の騒がしさは
相も変わらず…

惷香は回避して
悟空と席を交換していたが2人が取っ組み合いの喧嘩にも発展した時

運転する八戒のハンドルに悟空がぶつかった








「あッバカ
危……」








ズルッ









「うおッ?」


「あら?」


「なッ…」


「あ?」


「どわあああああ!!!」








ドボンッッ












ジープごと川に落っこちた









ザバァ――――









「ぷはァ!」


「だああッ冷てえッ」


「おいッてめーのせいだぞ
このバカ猿!!」


「何でだよ!!
元はと言えばお前が……」


「死ね!!
このまま死ね!!」


「クスクスクス……」








後ろから女の人の笑い声
振り向くと籠を片手に笑い過ぎて涙している女の人がいた







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