四拾七
惷香が下着を選んでいる頃
2人きりになった悟空と八戒がヒソヒソと話をしていた
「なぁ八戒
やっぱさー惷香どこか調子わりィんじゃねーの?」
「悟空もそう思いましたか?
急に座りこんだ事にしろ
買い物中の上の空にしろ
どこか調子が悪そうですね」
「やっぱさー腹減ってんじゃねーの?」
「……………
ないですね」
「なんだよー!」
そんなやり取りは惷香の耳に入る事もないまま買い物は無事完了した
宿屋への帰り道
辺りはもう薄暗くあちこちのお店や家には明かりが灯され
街灯がポウッと点き始めた
悟空と八戒は惷香の衣類や身の回りの品を両手一杯に持ち
「腹減ったー」
などと言いながら宿屋へと入った
部屋に戻るや否や三蔵は
「遅い」
「煙草よこせ」
などと文句を言い
悟浄は相も変わらず惷香の肩を抱くと
「買い物なら俺が付き合ったのにさー
特に下着なら選んじゃうよ?」
などと言うと三蔵の銃が鳴り響いた
その日は夕飯を宿屋裏に隣接していた飯所で手早く済ませ
明日の出立に備え早目に就寝した
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