百七拾九


新天地は焔を置いたまま


消えた――――


















新天地から脱出した紅孩児達は



無天経文を持ち帰り
いつもの日常に戻った




三蔵一行も再びジープに乗り


西へと向かう









夜ジープで寝る三蔵一行の中



寝付けない惷香は


ふらりと近くの岩場で星空を見上げていた









「ごめんなさい…」








ぼそりと呟き

再び頬に涙が伝う









「また泣いてるのか」


「ッつ!
さ、三蔵…?!」









三蔵はタバコを取り出し

火を着ける









「アイツはお前に笑う事を望んだんだ
いつまでも泣いてないで
笑ってやるんだな」


「うん…」


「何故私は焔を覚えてなかったのかな…
記憶が残っていたら…」








三蔵は煙をふーっと吐き出す








「変わらねえよ
例えもしお前がアイツを覚えていたとしても…そうだろう」








紫色の瞳が眩しい位の星空で
瞬く様に光る









「変わらない…か
そうだね…」








三蔵は舌打ちするとタバコを地面に落とし
ザッと踏み潰した









「アイツを唯一認めるのは
女の趣味位だ
アイツに言われなくても
お前は離してやらん」








三蔵は背を向けてポツリと呟いた









「車に戻るぞ」


「はいっ」









三蔵の後を追いジープに戻ると

八戒も悟浄も起きていた





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