百七拾七
「金蝉…頼めた義理はないが
最後に頼みがある…
俺をここに残したまま
この世界を閉じてくれ…
そして夕惷を…頼む…
俺が唯一…愛した女なんだ」
「…分かった」
惷香は口を抑え
涙をハラハラと落とす…
「金蝉…
俺はきっと500年前から
お前達5人が羨ましかったんだ
いつもお前達が…」
地面は大きく崩壊が始まり
焔と三蔵達がいる場所だけが
辛うじて残っている状態にまでなっていた
「俺は…下界に来て
精一杯生きた…
精一杯愛した…
そんな 気が…する…」
焔の手がバサッと
床に 堕ちた――
焔は笑ったまま
新天地で 闘神太子を終えた――
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