百七拾六


「ぐぁぁぁぁぁっ…!!」









如意棒は焔の腹部を


貫いた―――






焔は吹き飛ばされ


岩にぶつかった









「焔!!
お前今ワザとやられたろ!」


「違うっ…!
精一杯戦い…負けた…
それだけの事だ…」








焔は岩に身体を寄りかかる様に座る









「俺には…寿命がある…
俺には半分…人間の血が流れている…」


「それって…!」


「そう…
俺は異端なる存在…
ただそれだけの事で…
俺は苦しめられ
そんな天界を壊してやりたかった…」









地面には罅が入り
段々と崩壊が始まる








「あんな天界の為に死ぬのはごめんだ…
だが俺は闘神だ
だから俺は戦って死ぬ
戦う相手も強くなくてはならない…
だから光栄に思えよ…孫悟空
この闘神焔太子が唯一認めた最強の男なのだから…」


「焔…」









焔はゆっくりと手を上げ


惷香に手を差し出す








「夕惷…
俺はこの世界でも…お前とは共に生きて行けないのだな…」


「焔…ごめんなさい…
ごめんなさい…」









惷香は溢れる涙を
止められなかった









「泣くな…
俺はお前が笑った顔が
昔から…500年前から見ていた
笑ってくれ…」


「焔…」









惷香は涙を拭き
唇を震わせ 笑った…








.

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