百七拾四


床に倒れ込んだ悟空の元に
三蔵がゆっくりと近寄った








「おい悟空
何遠慮してんだ」


「遠慮だと…?」









三蔵の言葉に胸を掴み
ゆっくりと焔は立ち上がる








「アイツの望み通りにしてやれ」


「三蔵…」


「何を言ってやがンだ」


「三蔵…まさか焔を…」


「さん……ぞ…」









悟空から離れた場所で
悟浄と八戒、惷香は静かに見守っていた









「ぐっ……
まだだ…まだ決着は着いていない…!」








胸を掴みながらゆっくりと焔は悟空に近寄り

悟空も身体の傷を痛むのを我慢しながらゆっくりと焔に近寄る








「おい三蔵
どういう事だよっ」


「アイツが求めているのは
死に場所だ…」


「なんだって!?」








焔に視線を向けると
焔は再び全身に炎を纏う








「そんな事はどうだっていい
さぁ!本気で戦え!
孫悟空!」









どちらともなく近寄り

お互いの拳がぶつかり合う



悟空の拳が深く焔の頬に当たり


焔は遠くに飛んだ





再び胸を掴み苦しむ焔は

ゆっくりと悟空に声を掛ける








「強くなったな…孫悟空…」








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