百七拾弐
両手首から無機質な音を立て手枷が床に叩き落ちると
焔の全身がゆらりと赤い炎が取り巻き始めた
「皆ッ下がってろ!」
「なぁーに格好付けてンじゃねぇぞ!」
「辞めろ」
悟空は如意棒で臨戦態勢を取る後ろで
八戒を肩を貸す悟浄を三蔵が制止する
「足手まといだ
黙って見てろ」
是音と紫鴛との戦いで
立っているのも精一杯の2人に
三蔵は静かに言葉を投げ掛けた
「さぁやろう
時間がない…」
空は黒く覆われ
地面もゆっくりと崩壊し
球体の中心となる山の頂には
青黒い雷が休む事なく
降り注いだ
焔は両手を広げると
全身のオーラが床を削り
焔の金色と翡翠の瞳が
怪しく光り出した
スッと焔が目を瞑り
再び開いた瞬間
一瞬で悟空の目の前に移動し
「ふはははははっ!」
高笑いと共に悟空を蹴り飛ばした――
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