百七拾


だが力を放出し過ぎた是音は

黄色の目を押さえながら
苦しみ出した









「ぐっ…ぐぁぁぁぁぁぁあ!」

















『焔…紫鴛…』












その隙を悟浄は見逃さず


錫杖で是音を貫いた――





「焔…先 行くぜ…」






スゥッと消えた是音のいた場所にはパサリと眼帯が落ちた――





























「な…夕惷!
俺を見ろ!
何故あんな奴を見る!
お前は金蝉に置いて行かれたのを忘れたのか!?」


「違うっ…!
あの人は…あの人はそうしなければならなかったから…
私が言ったからッ…!」








焔に両肩を掴まれ
ガクガクと揺すぶられながら


絞り出す様に声を荒げた








「私は…アナタの事は知らない
もし知っていたとしとも…
私が手を取るのは…」











「焔 待たせたな
俺の女を返して貰いに来た」


「待ち合わせは…嫌いなんじゃなかったか?」









焔は声に反応し
惷香の両肩から手を離し

刀を取り出した









「金蝉…今度こそ決着を付けてやる…!」








三蔵はキチンと法衣を正し

肩には魔天経文が掛けられていた

その後ろには金鈷が嵌められた悟空の姿――








「三蔵…頼む!
アイツは俺にやらしてくれ!」








悟空の願いに三蔵は悟空に背を向けタバコに火を着けた









「三蔵サンキュー!」


「孫悟空…
貴様はやはりそちらに立つのだな…いいだろう」






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